高齢者とアロマテラピー

10年ほど前から、アロマテラピーというものがだんだん馴染み深いものとなってきました。

 

「香り」が心や身体を癒してくれるということで、「アロマオイル」などを販売する店も増えてきて若い女性などの間では、ずいぶん浸透していると思われます。

 

そもそも、「アロマテラピー」とは何でしょうか。

 

日本アロマ環境協会によるアロマテラピーの定義は、「精油を用いてホリスティックな観点から行う自然療法」ということになっています。

 

精油」というのはいわゆる「アロマオイル」です。

 

同協会の定義では、「植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材」であり、「有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質」とされています。

 

精油は植物によって特有の香りを持ち、それぞれに効能があります。

 

例えばラベンダーにはリラックスさせる効果があると言われています。

 

そんなアロマオイルの効能を利用して、高齢者の心身を癒そうという動きが、最近活発になってきました。

 

アロマオイルの香りが刺激となって認知症を予防することができるという説も出てきて、今、高齢者とアロマテラピーを結びつけて考えるところが増えています。

 

病院や介護施設でアロマオイルを使って香りを拡散させ、入院患者や入所者にリラックスしてもらうことから始まり、植物油にアロマオイルを混ぜたものを使って簡単なハンドマッサージをするなど、いろいろな利用法があり、一種の「補完療法」としてのアロマテラピーが定着しつつあります。

 

施設などで周りの利用者になじめず、無表情になっていたお年寄りが、アロママッサージをしてもらって笑顔を取り戻したという話はよく聞きます。

 

「香り」と「記憶」が深く結びついていることもよく知られています。

 

柑橘系の香りなどはお年寄りにも親しみやすく、懐かしいと感じる方も多いようで、オレンジの香りで子供の頃に食べたみかんの思い出話などをして穏やかな気分になる方もいらっしゃいます。

 

これはとてもいいことだと思います。

 

ただ、アロマテラピーは、正しい知識のもとで行わないと危険なこともあります。

 

例えば、空気を浄化する作用がある「ユーカリ」というアロマオイルには、ぜんそくの人が香りを吸い込むと発作を引き起こす可能性のある成分が含まれています。

 

また、アロマオイルは引火性があるので、火の近くで使わないようにしなければなりません。

 

以上のことをふまえて、医療や介護の現場でアロマテラピーを取り入れるのは素晴らしいことではあるのですが、正しい知識を身につけた人が安全な方法で利用できるようにしたいものです。